私の心に残る人(1) Aちゃん
※はじめての方はこちらをご覧ください。
「私の心に残る人シリーズ」を書こうと思う。おそらく全3回。
まずは「Aちゃん」のことについて語ろう。
Aちゃんは不思議な魅力を持った女の子だった。
私とAちゃんとは幼稚園と小学校が一緒だった。
しかし、Aちゃんと仲良くしていたのは、小学4,5年生の時だけだ。
Aちゃんは、一般的な目で見て特別可愛いとか美人というわけではないと思う。
しかし私にはとても可愛く、美人に見えた。
彼女は水泳をしていたので、肌は小麦色、髪は少し茶色かった。
小柄とか華奢とかではなく、小学生にしては身長が高くグラマーだった。
暗いイメージは一切ないのだが、口から先に生まれてきたようなおしゃべりではない。
笑い方も控えめで、怒ったり泣いたりしている姿は見たことがないのか、思い出せない。
テンションが上がってキャーキャー言うこともあったのだが、それが何とも慎ましい「キャー」なのだ。
自分の好きなものは楽しそうに話してくれるが、どちらかと言えば聞き上手だった。
一緒に遊ぶときは、私がしたいことばかりしていたように思う。
私の提案は大体なんでも受け入れてくれた。
彼女はディズニーリゾートと英語が大好きだったので、どことなくアメリカンだったが、内面的には「大和撫子」である。
彼女の慎ましさとグラマーなボディが、私にはとても大人っぽく、色っぽく映った。
自己主張の強くない彼女は、ちょっと何を考えているのかわからない部分があり、ミステリアスな魅力があった。
私は彼女の大人っぽさ、色っぽさ、ミステリアスな雰囲気の虜になってしまった。
本当に好きで好きで、ものすごく束縛してしまっていた。
あれが「独占欲」というやつだったのだろう。
毎日学校で会って一緒にいるのに、メールと数種の人格になりきった手紙(数通)を毎日交換し、さらに毎週土曜日はAちゃんの家で遊んだ。
今思うと、彼女もよく付き合ってくれたものだ。
小学6年の初め頃に、わけあってAちゃんと遊ばなくなった。
それでも私はAちゃんが好きだった。
「いつかまた仲良くなれる」という淡い期待を抱いていたが、
私は中学受験をして受かったので、公立中学に進んだAちゃんとの接点は無くなった。
私は中高一貫校(原則的に編入無し、高校受験も無し)に進んだので、Aちゃんと高校が一緒になることはなかった。
しかし、高校1年生の春、ある偶然によって、Aちゃんと二人きりで遊ぶことになった。
久しぶりに会うAちゃんは相変わらずで、いい意味で女らしく、大人っぽく、色っぽく、ミステリアスであった。
その時も私はAちゃんのことが好きだったし、デート(この言い回しは女同士ではよく使う)も問題無かったのだが、何故かその後積極的に連絡を取ることが無く、疎遠になってしまった。
私は大学受験を意識していたので、連絡する余裕が無かったのかもしれない。
Aちゃんからも連絡は無かったので、Aちゃんの心の中に私はもういないんだと思う。
今でもふとAちゃんを思い出す。
この間、Aちゃんの名前をググって、facebookで見つけてしまった。
横顔の写真が現れたのだが、相変わらずとても魅力的だった。
「また会いたい」「連絡を取りたい」「なぜあの時連絡し続けなかったんだ!」と考えてしまうが、もう彼女に近づいてはいけないんだと言い聞かせる。
彼女は同窓会には来ないタイプみたいなので、本当にもう会うことはないだろう。
しかし、私はいつまでも彼女の虜だ。
彼女以上に魅力的な女性には、もう出会えないと思う。
ご一読ありがとうございます。